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板橋本町の長屋  -CASABELLA- 

計画地は環状七号線から少し入った閑静な住宅街の一角にあります。このあたりは第一種住居地域で建蔽率が60%程度、概ね2〜3階建ての建物が並び、それほど広くない通りからのセットバックで、少しだけスカイラインが低く抑えられて続いています。不等辺五角形の高台地は南北の高低差が約2mあり、三方を道路で囲まれていました。この場所で賃貸住宅を考えるとき、変形地の有効利用や高低差のある接道状況から、スキップフロアによる長屋に様々な可能性があるように感じました。長屋なら住戸のエントランスを長い接道面に分散させた独立性の確保や逆に路面に開いた環境もつくりやすいと考えました。

建築物内部の面積をなるべく大きく確保しようとすれば、敷地形状をそのままオフセットした平面形状とすることが最も有効です。また、三方からの道路斜線を受けて上階が斬り込まれる不利な状況を解消するため、天空率計算による道路斜線の緩和制度を活用する必要がありました。敷地形状のオフセット寸法と天空率計算による斜線緩和の2つを変数として、幾度となく繰り返し調整して計算することで、内部空間を少しずつ押し出すように拡大していました。そして最終的には根幹となるボリウムに拡張して得たボリウムが張り出した様な形状に収束していきました。ちなみに、この操作によって容積率はその限度に対して96.2%にまで迫っています。

 

そうして拡張された幾つかの小さなスペースは、窓辺での過ごし方の提案でもあります。それらはそれぞれ住まい手のライフスタイルが表れる場となり、さらにスキップフロアにより高い開放性と自由度をもって繋がることで、単なる住居としてだけでなく、スモールビジネスの拠点、店舗、アトリエなど、それぞれの個性を街に向けてアピールする空間となったら良いなと期待しています。

概要

所在地:東京都板橋区

主要用途:長屋・賃貸住宅

構造・規模:RC造 地上3階・地下1階

敷地面積  98.85㎡

建築面積  62.40㎡

延床面積 225.81㎡

貸付面積

A室(地下1階・1階) 50.40㎡

B室(地下1階・1階) 60.19㎡

C室(2階・3階)   49.62㎡

D室(2階・3階)   52.45㎡

撮影:傍島利浩

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